思春期アスペルガーの子との交流方法!物語の共有『NARUTO』編
最近、アスペルガーの娘(14歳)とほぼ同時に人気漫画のナルトを読み終えました。今は、娘と感想を話し合ったり、アニメ版を一緒に見ようとしているところです。
私は今までに、いくつもの本や漫画を娘と一緒に読み、内容を共有し、ストーリーについての感想などを語り合ってきました。そのことで、私は自閉症のある娘をより理解することができ、また娘の視野を広げることにもつながっていると思っています。
この記事では、主にナルト(NARUTO)を読んで娘と話し合ったことや感じたことなどを書いていこうと思います。
娘と物語を共有すること
子どもたちが生まれてすぐの「絵本の読み聞かせ」からスタートした、私たちの『物語の共有』について、まとめてみます。
物語の共有方法
- 絵本の読み聞よかせ
- 長編小説の読み聞かせ
- 本や漫画を勧めて読ませてみる←イマココ
私は、子どもたちが1歳になるより前から、絵本の読み聞かせを毎日行っていました。それが影響しているのか、娘は本が好きな子に育ちました。
アスペルガーの娘が小学2年生の時、『ハリーポッターと賢者の石』を毎晩寝る前に読み聞かせするようになりました。その後何年かかけて、私の声で娘にハリーポッター7巻まで全てを読み聞かせ通すことができました。その結果、娘はハリーポッター大好きになりました(マルフォイ推し)。
最近は、私が読んで面白いと思う本、そして日本語が難しくない本を、積極的に娘にすすめてみます。娘は芥川賞を受賞した『コンビニ人間』を読み、とても気に入ったようでした。
今は、読み終わった娘と感想を話し合う時間をよく取っています。本や漫画が共通の話題となって、コミュニケーションの材料が増えました。
物語を共有する意味・効果
- 娘の考え方や価値観を覗き見ることができる
- 娘の世界を広げることができる
何かを読んでアスペルガーの娘の感想を聞くと、思いがけない見方や意見が飛び出してきます。同じものを読んだ下の娘の感想ともかけ離れていることが多いです。同じものを読んだときに娘がどう感じているか知ることで、娘の価値観や持っている世界観を少しずつ理解することができるように感じています。
また、アスペルガーの娘が本を読むことは、他者の視点を学ぶ機会になっていると感じます。『登場人物ひとりひとりが違った状況を持っていて、違った気持ちを抱いていること。』ということを、彼女は本から学んでいるようです。
漫画NARUTOを共有した体験談
では、昨年の夏から今年にかけて読んだナルトについて、書いていきます。
NARUTOを選んだ理由
まずはナルトについての説明を、Wikipediaから引用します。
『NARUTO -ナルト-』(ナルト)は、岸本斉史による日本の漫画作品。またこれを原作とするアニメ、ゲームなどの作品。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて1999年43号から2014年50号まで連載された。全700話で、単行本は全72巻と外伝1巻。
ナルトは72巻にもなる長編少年漫画で、特に海外人気が高いようです。アメリカでもナルトの人気は絶大なようで、アスペルガーの娘は学校でナルトの話題を頻繁に持ちかけられるらしいです。しかし彼女はナルトのアニメも漫画も見ていないため、話題についていけなかったとのこと。そこで私は、「ナルトを読んで、娘がアメリカの子どもたちとの共通話題を持てたらラッキー!」くらいの気持ちで、ナルトを与えてみることにしました。
私のNARUTO感想をシンプルに
ざっくり書いてみます。
- 登場人物の人に対する執着がやたらめったら強い
- ラスボスがサスケ?!サスケが終始ヤバかった
- ナルトが実はエリートだったのがちょっと拍子抜け
- シカマルカッコいい
- 自来也カッコいい
- いわゆる「男の理想の女の子」がひとりも出てこないのがGood!
- キャラクター多すぎて覚えきれない
- いろいろ複雑で私の頭では消化不能
- てかチャクラって結局なに?
特に感じたのが、この漫画の登場人物はみな「人に対する執着が強い」ことです。ナルトはサスケを救いたいと、序盤から最後まで通してサスケを追い続けていました。対するサスケは兄を殺したいと突き進んでいき、兄のことをきちんと理解できたら今度は兄の仇を取ると木の葉の里つぶしに躍起になり。。。キャラクターほとんどが誰かに執着し、その執着を動機に動いていたように感じます。同じジャンプの人気漫画である『ドラゴンゴール』と比較すると、ドラゴンボールのキャラ達は、人への執着はぜんぜん見せていなかったことに気付きます。彼らは他人への執着でなく、自分の欲求(例えば「もっと強いヤツと戦いたい!」とかw)をもとに動いているなあと。
ナルトを読んでいてもうひとつ私が気になったポイントは、少年漫画にありがちな「やさしい、おだやか、スタイル抜群、いつでも主人公のことを好きでいてくれる」のような、現実の女子とはかけ離れた理想像の女の子を漫画内に1人も盛り込んでこない点です。サクラは性格がアレな感じだし、ヒナタはジメジメしすぎているし。ナルト内では男の理想の女の子が一切出てこなかったから、私は快適にナルトを読破できました笑
アスペルガー娘のNARUTO感想
こっちも娘から聞いた話をざっくり箇条書きにしてみます。
- カブトかっこいい!イチオシ!→ヘビ化したカブトはただのネタキャラ
- マダラの「月の眼計画」はよいと思う、反対理由が分からない
- 誰かに夢中になって脳みそを預けてしまうキャラが好き(初期のサクラ・途中までのカブト・カリン)
- 暁のキャラが好き(特にデイダラ・小南・サソリなど)
- 鷹のメンバーが好き(特に水月・香燐など)
- 忍びの里の戦争などを読んで、歴史授業が少しわかるようになった
- ヤンデレがたくさん出てくる
本人の口から聞いた情報をざっと並べました。彼女は敵キャラを好みます。また、誰かの信者になり切っている人(サスケに心酔している香燐など)に強く惹かれているようです。彼女は香燐を「いちばん共感できるキャラ!」とも言っていました。
彼女が「月の眼計画」を全肯定しているのも特徴的だと思いました。
月の眼計画とは
簡単に言えば、うちはマダラが無限月読で世界中の人間を幻術にかけ、夢の世界を皆に見せてやろうという計画です。
マダラの思い描く平和な世界を作り、マダラは唯一の支配者になるつもりでした。
感想を語り合った体験について
『月の眼計画』について、私たちには考え方の違いがありました。そこで娘と話し合ってみました。
娘「月の眼計画でみんなが幸せになれるなら、それはいい計画じゃないの?」
私「マダラの考える幸せな世界を作るということだよ。あなたの好みの世界ではなくて。」
私「例えばマダラじゃなくて、YouTuberのシバターさんが『お前らみんな幸せにする計画』で世界を支配しようとするとしたら、あなたはそれに納得して従う?」
娘「それは無理。シバターは信用できない!」
という会話をしました。彼女は自分の納得できない人に世界を牛耳られるのは嫌だと思ったようでした。
その他、ラスボス化したサスケについてやイタチの行動について、そして黒ゼツという存在についてなどさまざまなことを、娘と話すことができました。
まとめ
私とアスペルガーの娘がナルトを読み通し、その内容について娘と話し合ったことなどをまとめてみました。ナルトの感想を娘から聞くことで、彼女は「誰かの信者になってただただ崇拝していたい」気持ちが強いことを再確認しました。
私は普段から、「自分の考え方を持つことが大事。人に脳みそを預けてはだめ。」と娘に言いますが、娘はそれをとても嫌がります(自信がないのか面倒なのか)。とりあえず、今後も娘にいろいろな作品に触れさせて、多様な視点を共有していけたらいいなと考えているところです。